「芽生ちゃん、いらっしゃい」

「お、お邪魔してまーす……」

「お邪魔なのは、おじさんの方かな」


なんて、"はははっ"と笑い声もつけるけど、完全に目が笑っていない。





「でも、もう遅いから帰りなさい」

「は、はい」

「イブは後で父さんの部屋に来なさい……」

「……は、はい」


イブの顔は漫画みたいにサーっと血の気が引いていた。このあと、説教でもされてしまうのだろうか。


逃げるように、イブの家を後にしたけど。

冗談、だよね。
イブがふざけてでもあんな事をするなんて、びっくりした。


頬に両手を当てて、まだ残る萌花の香りに包まれる。
あの展開にちょっとでも期待した自分がいて、体が熱をもっていくのか分かった。





ーはじめての?ー