「じゃぁ、悪いと思うならさ」

「うん」

「私が眠るまで一緒にいて」

「うん」

「手繋いで」

「うん」

「頭撫でて」

「うん」

「イブ好きだよ」

「う、……うん?」

「キスして」

「……うつるから、駄目」

「けちー」


それって、うつらないならしてくれるのかな。なんて、唇を尖らせながら思ったけど、否定されたら悲しいから言わなかった。

イブの冷たい手が私の手を握って、反対の手で頭を優しくゆっくりと撫でる。




「イブ、お風呂入った?」

「萌花の匂い落とすのに軽くシャワーだけ」

「萌花の甘い香りも好きだけど」

「うん?」

「イブの匂いも落ち着く」

「……」


イブの香りに包まれながら目を瞑ると、一気に今日の疲れがどっときて、全身の力が抜けていった。

もっとイブに、撫でられてたかったのに、手を握ってもらいたかったのに、ぼんやりと意識が無くなっていく。