怖くて震えて、涙がポロポロと頬を溢れ落ちていく。
固い地面から冷たいコンクリートの温度がお尻に伝わって、酷く自分の体が重たく感じた。



「マジで、何考えてんだよ?」


イブが声を荒げて眉をつり上げるから、体がビクッと反応する。



「だって」

「何で、家に入ろうとすんだよ」

「だって、あの人がイブの秘密を知って証拠のがあるって」


だって、だって。
イブの事が周りの人に知られたら、イブが悲しむと思ったんだもん。



「俺の?」

「だから……って、正体、自分でバラしちゃってどうすんの?」

「いーよ、そんなの」

「せっかくバレてなさそうだったのに、」

「どーでもいいよ」

「……っ、」

「あんな奴の家についてくなんて、危ないだろ」

「……ごめん」

「何かされたり、監禁されるかもしれないし」

「ご、ごめ……なさい」


「本当に芽生ちゃんに何かあったら、俺がっ……泣きたい」


力強く背中に回すイブの手が、より強さを増した。すぐそばで鼻を啜る音が聞こえたから、イブも泣いているのだと分かる。

冷えきった体は震えていて、イブのこの温度が現実を感じさせる。


長い髪が頬に当たってくすぐったくて、泣きながらも笑ってしまって。萌花の甘い香りに包まれて、凄く安心する事が出来た。