「見に来ますか?」

「え?」

「証拠。青山伊吹と萌花の……」


そっと手背に触れられるものだから、背筋が凍りついた。怖くて怖くて震えが止まらなくて、頭の中で危険信号が鳴り響く。

駄目だって理解はしている。危ないと認識してるのに、吸い寄せられるようにこの男の人について歩き出した。


私がなんとか出来ると思えないけど、イブと萌花の証拠をどうにかしなくちゃ。
だって、他にどうすればいいのか分からなかった。



「知りたいですよね?」


だって、頷くしかなかった。



「貴方と彼女の秘密を」


証拠をなんとか消さなきゃ。その先のことなんて考えられなくて、そればかり頭の中で一杯になっていった。



暗くて外観はよく分からなかったけど、住宅街に並ぶ普通の一軒家。暗くて屋根の色は分からなかった。表札も無かったのか見つける事ができなかった。

バス停からは、そんな離れていなかったと思う。でも随分と歩いたようにも感じた。

普通の家っぽいから、1人暮らしでは無いだろうと少し気が緩んだところで、ドアの鍵が開けられた。と同時に玄関の灯りがセンサーでついた。
サンダルが1つ。他は靴箱にしまわれているのか何も並んでいない。



心臓が大きく脈打ち出す。

逃げられるだろうか。この人の顔をよく見とかなきゃ。
髪の毛がしっかり揃えられた短髪、真面目そうなタイプでーー。



あれ?眼鏡をしていないから気づかなかったけど、この人イブの教室で見たことある。





「……あの、芽生ちゃん、待って!」


すぐ後ろから萌花の声が耳に入った。