「熱っ!!」


萌花の冷たい手が額に当てられて、ひんやりして気持ちがいい。



「熱ね、はかってたの」

「8度9分だよ!」


体温計を取り出してみれば、萌花が目を丸しくて大きな声を出した。



「え、そんなに……?」

「すっげー、熱あるじゃん」

「あ、うん。熱いかも」

「萌花もあがるから帰ろう」

「え、でも……今日あんま人、いなかったよね」


ぼーっとする頭で今日のホールの様子を思い出す。



「そんなのどーでもいいよ!」

「え……?」

「おばさんは?おばさんに連絡して!」

「あ、うん?」

「とりあえず、萌花がバス停まで送るから、お家帰りなよ!」

「は、はい」