「駄目、芽生ちゃんストップ」


イブの右手で顔をしっかりとガードされるから、カチンときてしまう。



「いーじゃん、キスくらい!はじめてじゃあるまいし!!」

「いや、駄目だって」

「減るもんじゃないでしょ!?」

「減らないけど、芽生ちゃんに、そのされると……分かんないけど、」

「何さ?」

「なんか、凄い駄目なんだよ」

「はぁ?」

「なんか、凄く……ドキドキするから駄目」

「……な、にそれ」


目の前のイブは耳まで赤くて、茹で蛸状態だ。
そんな台詞、そんな顔で言われたら私はどうすればいいのだろうか。

もっとドキドキすればいいのに。萌花じゃなくて、私の事をもっともっと意識すればいいのにーー。


イブの手を両手で握れば簡単によけることが出来るから、本気で嫌な訳じゃないんだって分かる。
そのまま、ゆっくりと距離が縮まっていくところで。





「ストーーップ!保健室でイチャつき禁止!!」


眉をつり上げた保健の先生が、カーテンを開けて邪魔をしてきた。