「イブ、今日はありがとう。美味しかった」

「どういたしまして」

「ねぇ、イブは虚しくならない?」

「……何が?」

「萌花が好きだとキスも出来ないんだよ?」

「……」

「鏡相手にうっとりしてもさ、」

「芽生ちゃん、黙って……ほっといて。理解者は萌花だけでいいし」

「私ね、萌花といるとドキドキするの」

「え?」

「萌花は可愛くて、いい匂いもして、ふわふわで」

「うん、分かる……」

「萌花が好きって言ったらどうする?」


こんな聞き方をするなんて私はずるい。
イブの目が大きく見開いて揺れて、動揺するのが分かった。



「じゃぁ、……芽生ちゃんはライバルだ」


でも、そう言って口元を緩めたイブはもっとずるいと思う。