「凄い!!萌花、超可愛い!!」

「ふふっ」


口角の上がった口元に右手を当てて笑顔をみせる。
仕草も話し方も完全に萌花になっていて、この時のイブの存在はどこにいってしまうのだろうか。



「めっちゃ、可愛いー!!」


ビフォーアフターを目の前でやられた私は完全に気持ちが高まって、思わず萌花に抱きついた。



「芽生ちゃん、苦しい」

「あ、ごめん。」

慌てて離れようとしたその時、




「知ってるよ」

「……え?」





「萌花は、世界で一番可愛いよ」




鏡の前に座る彼女がそう呟いて、私をぎゅっと抱き締めかえす。

なんだろう。何かが引っ掛かるけど、それどころじゃない。

可憐な一輪の華が咲いたような、萌花の存在に見惚れて、凄くドキドキした。




「う、うん」

「芽生ちゃんも可愛いよ」


なんて萌花に笑われれば、目と目が合って、その大きな瞳に吸い寄せられそうになった。

凄く変な気分になるのは、何でなのか分からないけど、萌花が急に顔を反らすから、少し残念な気分になったのは何でなのか。


その日は、萌花のふんわりとした微笑みが頭から離れなくて、甘い匂いが鼻の奥に残っていつまでもおかしな気分だった。