イブが萌花について話す時、まるで本当にいるかのように目を細めて優しい顔をするから。

同一人物と気付いてからも、時々イブと萌花が別の人間なんじゃかいかって思うときがある。



「じゃ、はじめるよ」


すぐ横に座るイブが重い前髪をクリップで止めるから、少し幼い顔立ちと可愛らしい姿がはっきりと見えて驚いた。



「イブ、前髪あげれば?可愛いよ」

「俺は可愛くなりたいわけじゃない」


萌花になるくせに、イブは可愛く無くていいなんて、変なの……。



そのまま、化粧水、乳液と順番に肌をケアして、クリームを塗っていく。下地にファンデーション、キラキラ入りの白いパウダーをのせていく。

アイメイクは凄い念入りで、目尻の端までしっかりとラインをひいて、しっかりとカールされた睫毛にマスカラを重ねて盛っていけば、1.5倍の瞳が完成。

唇に仕上げのグロスを塗っていく。



「……凄い」


ブラウン色したウィッグをかぶって、イブは完全に萌花の姿に変えた。
目の前で萌花が作られていくのを目の辺りにして、戸惑いと興奮を隠せなかった。