「1人で外出るときは電話してるふりをするんだよ」

「え、何で?」

「電話が繋がってたら都合悪いだろ?」

「あ、そっか!」

「あと、何かあったとき怖くて声が出ないって言うだろ」

「う、うん。それ、聞いたことある」

「防犯ブザーで、……持ってる?」

「小学校の時、使ってたやつなら!」

「それと……」


イブが近くに置いてあった段ボールから何かを取り出した。




「何これ?」


テーブルの上に小さなスプレーや、四角い形をした黒い機械のようなものを並べていく。



「これは、携帯用の催涙スプレー」

「催涙?」

「中に唐辛子の成分が入ってて」

「唐辛子??」

「だから、相手の顔に向けて噴射して目に入れば激痛で動けなくなって、その間に逃げられるんだよ」

「え、でも。ヤバくない?絶対痛いよね?」

「芽生ちゃんの身を守るためのものだからね」