ちらりと隣のイブに目を向ければ怯えるように眉を下げているから、この沈黙が余計に私を苛立たせた。



「イブ、私に何か言いたい事あるんでしょ?」


ギロリと目を向ければ、イブは無言のまま顔ごと下に向ける。



「あの彼女の事で」


刺々しい口調で言葉を続けると、俯いたまま更に頭を下げた。




「大井さん、お願い……。誰にも言わないで欲しいんだ」


なんてイブが弱々しく口を開きながら私を見上げる。その姿はまるで震える子犬そのもの。


まぁ、彼女が出来れば、自然とそういう流れになっても仕方無いのかもしれないし。別にコイツが悪いことしてる訳じゃない。


むしろ、鍵が開いているからといって不法侵入をした私の方が悪いし。趣味も彼女も充実してるイブに対しての完全に八つ当たりなのは分かっている。