「な……に、言ってんだよ」


イブが口許を引きつかせてごまかそうとするから、より一層、私の心を苛立たせた。



「知らないとでも思ってた!?」

「ちょっ、待って……」


靴を投げ捨てて、そのまま廊下を突き進んで奥の部屋に直行する。

勢いよくドアを開ければ、あの日と同じイブの部屋が広がった。



「おい、勝手に……」


イブが私の手を止めようとするけど、振り払って手を伸ばす。




あの日、ベッドで眠る女の子ばかりに気を取られてたけど。大きな鏡、ローテーブルには女物の化粧水や化粧ボックスが並んでいて。記憶は曖昧なものだけど、明らかに違和感だらけだった。




クローゼットの扉を引いて開けると、中にあったのは、萌花の髪の毛の他にも女物のウィッグや洋服、小物が綺麗に並んでいた。



「何か弁解することある?」

「……あ、りません」


目の前には、ばつ悪そうに顔に手を当てて下を向くイブの姿があった。