Tear Flowers〜小説家と「愛してる」〜

オープンな挙式ということで、結婚式場には結婚式に招待された人はもちろん、結婚式の話を聞きつけた人たちも結婚式場にやって来ていた。

「すごい人……。招待された人だけでも百人は越えているでしょ」

参列席に並ぶ人の数を見てレティシアが驚く。参列席には多くの会社関係者が座っており、雑誌やテレビで見かけたことのある人物もいる。

「それだけ二人の親の会社が大きいんだ。これだけ大規模な結婚式なんて、お金持ちじゃなきゃできないよな」

フリージアが豪華な花で飾られたバージンロードを見つめる。飾られている花も一番グレードの高いものだ。

「頑張ってお金貯めよう!花嫁さんに素敵な式をプレゼントしたいから……」

エヴァンがフィオナを見つめ、ふにゃりと笑う。フィオナは「素敵な夢ね」と返し、参列席に怪しい人物がいないか観察し始めた。隣のエヴァンの視線はもう気にならない。

参列席にいる人たちは、みんなこのおめでたい日を喜んでいた。時々、会社の利益の話が出ていたものの、二人の結婚は祝福されているのだ。怪しい動きをしている人物は見当たらない。