「私はアイビー・スターリング。そしてこっちが婚約者のピーター・オキナグサ。結婚式の準備で困ったことがあったら、先輩として何でも相談してね」

アイビーが微笑み、エヴァンが「ありがとうございます!」と返す。フィオナも頭を下げながらピーターの様子をチラリと見る。ピーターの顔はフィオナのように無表情で、感情が読み取れない。しかし、フィオナはピーターが結婚式に乗り気ではないとわかった。

「ところで、お二人はどのような出会いで結婚に至るんですか?僕たちは幼なじみなんですけど、学校の同級生とかですか?」

エヴァンが訊ねると、アイビーは「違うわ」と微笑みながらピーターを見る。アイビーに見つめられてようやくピーターはその顔に微笑みを宿した。

「私たちの家、それぞれ親が会社を経営していてね、この人と結婚しろって周りが言ったから……。でも、私たちちゃんと愛し合ってるから政略結婚だなんて思ってないわ」

その言葉に、フィオナとエヴァンは顔を見合わせる。アイビーは愛し合っていると言うが、出会いなどは全て周りに流された政略結婚であることに変わりはない。