今日の夜さ、二人でどこかに食べに行こうよ。そうエヴァンはいつものように笑う。フィオナはホッとしつつ、「いいわよ」と返した。

その時、曲がり角を曲がってきた一組のカップルとエヴァンはぶつかってしまう。よろけたエヴァンの体を咄嗟にフィオナは支える。

「す、すみません!」

エヴァンが謝ると、ぶつかった長い銀髪の男性が「いえ、俺も前をよく見ていなかったので……」と返す。男性の隣にいるふんわりとしたブラウンのショートカットの女性も「すみません!」と謝り、フィオナも頭を下げた。

「彼、ニ週間後に私との結婚式だから照れているんです」

とろけるような目で女性が男性を見つめる。男性は「よせよ」と照れたように言ったものの、その顔が一瞬険しくなったのをフィオナは見逃さなかった。

「へえ、お二人もうすぐ結婚するんですね!僕たちも今日、結婚式の予約をここでしたんですよ」

エヴァンが言うと、女性が「そうなんですか!」と瞳を輝かせる。やはり女性は結婚式や恋愛話に胸を踊らせるのだとフィオナは思った。