Tear Flowers〜小説家と「愛してる」〜




その後、結婚式の準備を進めるために次に式場を訪れる日をカリンと決め、フィオナとエヴァンは特殊捜査チームの部屋に戻るために式場の廊下を歩いていく。二人の間に流れる空気は、結婚式の準備を始めたカップルではなかった。

事件の起きた人物たちを調べた結果をフィオナが伝えたところ、エヴァンは一気に暗くなってしまった。結婚式に目を輝かせていたエヴァンにとって、相手が嫌い、どうでもいい、そう人生を共にする伴侶が思っていることが辛いのだろう。

「何か、お葬式みたいな雰囲気になっちゃったね。ごめん」

エヴァンは何も悪くない。しかし、暗い表情をしたまま謝る。その表情を見ているのが苦しく、フィオナは無意識にエヴァンの頬に触れていた。

「謝らないで。あなたは何も悪くないんだから」

こんな時、レティシアたちなら優しく微笑んでいるだろう。しかし、フィオナが無表情で言ったにも関わらず、エヴァンは「ありがとう!元気出た!」と無邪気に笑う。