Tear Flowers〜小説家と「愛してる」〜

「綺麗だね」

戻ってきたエヴァンはニコニコと笑い、カリンの前では結婚式を楽しみにする花婿になり切っていた。しかし、カリンがいなくなるとどこか深刻そうな顔をして、フィオナの方を向く。

「さっき、鳥に話を聞いてきたんだけど、とんでもないことを言ってたんだ」

「とんでもないこと？」

「花嫁、もしくは花婿が銃を乱射してバラの花びらを撒いて自殺する事件、何件も起きてるみたい」

「事件が起きたカップルたちに接点は？」

「接点は僕らで調べてみたいとわからない。でも、みんな「ブラックローズ様」って言っていたみたいだよ」

「ブラックローズ……」

フィオナが見た真実の一部でも、花嫁がその名前を口にしていた。ブラックローズとは一体何者なのか、花嫁や花婿は何故乱射事件を自分の晴れ舞台で起こしたのか、謎が深まるばかりである。

シオン、サルビア、そしてレイモンドにフィオナがエヴァンが鳥から聞いたことを伝えると、「そのことについては僕たちも調べてみたんだ」とレイモンドが言った。