「こんなに幸せなのに。もっと、もっとって。どんどん欲張りになる。」
柚葉の瞳にはいつの間にか、今にもあふれ出しそうな涙がたまっている。

「おいで」
永遠は柚葉の肩を抱き寄せる。
何度も何度も、華奢な妻の背中や腕をさする。

少し震えているその体を抱きしめる。

「いいんだよ」
「・・・」
「わがままにだって、欲張りにだってなっていいんだ。それだけ幸せだってことだろ?幸せだから欲張りになる。幸せだからわがままになる。」
落ち着いた永遠の声が柚葉の体に響く。
「生きてるからわがままになる。欲張りになる。俺も同じだ。」
「・・・」
柚葉は永遠の胸に自分の頭をつけて涙を流した。