「・・・」
急に手を握ったまま話もしない私に少し戸惑いながら、海璃が笑う。
「こんななるまで、お前は頑張りすぎなんだよ」

海璃とは付き合いが長い。
だから、海璃にはあえて言葉にしなくても伝わるものがたくさんある。

私が言葉にしないで飲み込んでしまうものを、海璃はいつだってわかろうとしてくれた。

完全に開ききれない心のまま、海璃の隣にいる私に、海璃はいつだって自分の心を全開にして向き合ってくれる。
「早く帰ろ。カレー作ってある。俺特製の辛いカレー。それ食べて、涙と鼻水と汗流して、一緒にあったかい風呂に入って、布団に入って眠る。それだけで、すっきりするぞ?お前は力入れすぎなんだよ。なんにでも。その力なんて、自然とどっか行っちゃうくらい辛いカレーだぞ?俺のおしりが泣くくらい。」
「ふふっ」
海璃の魅力的な言葉の後に付け足されたユーモアに私は思わず笑う。