「ん?」
両手を伸ばした私の手をなぜか握る啓吾。
「違うよ」
思わず吹き出して笑う私に、啓吾は息子に伸ばされた手なのだと理解したようで恥ずかしそうに耳を赤くして私に息子を預けた。

私が抱いた瞬間に泣きそうな顔が笑顔になる息子。

「なんだ?ママに抱かれたら笑うのか?ママが好きなんだなー。」
嬉しそうに、笑顔になった息子とそっくりな笑顔で微笑みながら、息子の頭を撫でる啓吾。

生まれた息子は啓吾にそっくり。
目も鼻も口も。

ずっしりと重い息子。
ポカポカ温かい息子。
胸に抱いているだけで、涙が出そうになるくらい愛おしくてかけがえのない感情に満たされていく。