「ただいま」
ステージから私の元へ戻った大悟がすがすがしくも凛々しくも見える表情で、私の隣に座った。

今日はステージの上に美容師界の新人たちもカットやヘアメイクのショーをする。
「おめでとう」
と言葉を贈ると当たり前のように、大悟は私の手をすっと握る。

「ありがとう。懐かしいな。」
大悟は私に微笑んだあと、ステージに視線を移す。まだまだ美容師としてデビューしたばかりの新人や、特別枠でコンテストで優勝した学生も今回はステージにあがりパフォーマンスをする。
「本当に」
美容学校時代を思い出しながら、私もステージの上にくぎ付けになっていた。

「もう一回、式あげてもよかったのに。」
「いやよ。一度で十分。」
大悟が言っているのは私たちの結婚式の話。