ばかだな。わかってるよ。
若葉が俺を想って、やせ我慢してたことなんて。

大丈夫だって。そう言って笑った表情とは裏腹に、きっと心の奥は傷ついていたことなんて。

誰よりも愛してたんだ。
ほかの誰かとって言った若葉の想い、ちゃんとわかってる。
でもわざとわからないふりをしてたんだ。

それが、俺の愛だって気づいてたか、あの世に逝ったら聞いてみよう。
その日まで俺は必死に、がむしゃらに生きる。

だから、見守っていてくれよ。
俺のことも。恵理のことも。生まれた新しい命のことも。

高志はふっと微笑んで歩き出した。