出会いからどれぐらい経った頃のことだろうか、ジローくんから、名画座に誘われた。

私が古い映画が好きだと話していたからだろう。

ジローくんは、私の話したことをとてもよく覚えていてくれる人。

とても嬉しかったのに…私は、今の曖昧な状態ではOKできなかった。

そして、実は地元に彼がいること、その彼とは既にうまくいかなくなっていて、別れ話をしようと何度も電話しているのに繋がらないことも、全て正直に打ち明けた。

「わかった。気にしないで」

そう言ってジローくんは、無理して笑ってくれたみたい。

そのとき、私は決めた。

何がなんでも、地元の彼とは終わらせなければと。


結局、別れはかなり呆気なかった。

こんなやり方はしたくなかったが、メールで、もう終わりにしたいと告げたら、相変わらず無視され、もう一度送るとエラーメールが戻ってきた。

最初からこうしていればよかったのかもしれない。

初めての彼氏との、初めての別れ。

しかし、何の感傷もなかった。

別れって…こんなものなのだろうか?