理由はわからないが、彼は何故か私によく話しかけてきたので、それなりに話すことはあった。

とはいえ、それだけのこと。



その頃、流行っていたのが、学校の屋上から何かしら叫ぶ、というものだった…らしいけれど、私はよく知らない。

ある日、校庭がざわめいていて、何だろう?と見上げると、屋上にその彼がいた。

まさか飛び降り…?

私は不安になったが、周りはやけに楽しそうだった。

「僕は告白しまーす!」

彼が屋上で叫ぶと、周りはますます大喜びだった。


告白って…あんなところから、一体何を告白するのだろう?


「水木茉子さん!」

「えっ!?」

突然フルネームを呼ばれ、私は思わず声をあげると、周りの視線が一気に集中した。

「僕と付き合ってくださいっ!」

そんなこと言われても…と思ったけれど、周りがやたら「早く早く!」「OKしてあげなよ!」と囃し立てるので、つい

「はい…」

と答えてしまい、周りも大喝采だった。