私たちはジローくんのご両親も公認の仲で、それもまた、とても嬉しかった。


デートは都心だったり、神奈川方面だったり、色んな場所へ行ったけれど、一番多いのは私の部屋だったかもしれない。

私の部屋では、これでもかというほど、いちゃついてじゃれあったけれど、決して一線を越えようとはしないジローくんに、少し不安も感じていた。

私って、魅力がないのかな…なんて。

そんなことをさりげなく聞いたことがある。

すると、ジローくんは、

「まぁ、俺も男だしね…本当はすぐにでも、という気持ちもあるよ。それで、万一、子供ができた場合は、当然結婚してその子を育てる選択もする。だけど、どうせならお互いが夢を叶えて、ちゃんと結婚の目処がたつまで、焦らなくてもいいんじゃないかな?」

そう言ってくれた。

私たちの夢。

ジローくんがシェフになり、私が図書館司書になること。

そして、結婚のことまで考えてくれているの…?

「プラトニックでも俺は充分楽しいし、これからずっと一緒に居るんだから、もう暫くこのままでもいいかなと思ってる。まぁ…もし茉子ちゃんがどうしてもって言うならば、喜んで今すぐにでも押し倒すけど」

と、冗談めかして言った。

私は、胸を打たれた。

そんな先のことまで考えていてくれたなんて。

大切にされたことで、自分を大切にするという意味が、はじめてわかった気がした。