新幹線に乗っている間も、どこか憂鬱な気持ちは消えぬままだ。

しかし、ジローくんと会ったら必ず笑顔でいようと決めていた。

それなのに…。

ホームに出ると、本心ではとても会いたかったのに、でも今はまだ会えない…という思いもあったジローくんが待っていてくれた。

「おかえり」

愛情に満ちたその笑顔を見た瞬間、私の涙腺は決壊した。

「ど、どうしたの！？」

焦るジローくんにしがみついたまま、私は涙ながらに訴えかける。

「私がジローくんを好きになったのは…間違いだったの？そんなこと、絶対認めたくなんかない！」

人々の視線も気にせず、私は泣き続けるはかりだ。

ジローくんは、私がそんなことを言って慟哭する理由を問うことはせず、ぎこちなく私を抱き締め、ただ静かに、この荒れる感情を受け止めてくれていた。

「茉子ちゃんは、何も間違ってない。大丈夫だから…」

何度も、そう言いながら…。



そのとき、私は確信した。

世界中に背かれたとしても、ジローくんへの想いだけは間違っていない、彼とならすべて越えてゆける…と。