|先生との再会





学生の頃の私(永井 菜乃花)は顔も性格も成績も全て平凡だった。


それは大学を卒業しても変わらなくて。
でもそんな自分を受け入れていていた。
これからも平凡に仕事をして平凡に恋をして、平凡な結婚をするんだろう、と、そう思っていた。




それなのに…







なんだ、この状況は。







目が覚めると、見知らぬ天井に見知ったシルエット。





そのシルエットは、高校3年生の時によく見たシルエットだ。




しかしあの時と決定的に違うことがある。





それは、その人物が服を着ていないこと、




そして、その特徴は私にも当てはまっている。




…もしかしてそういうこと??





とりあえず必死に昨日の記憶を探ってみる。




私はこの4月から教師になった。理由は特にない。
強いて言うなら、学校で生活していた私たちにとって、最も身近な職業だったから、というものぐらいである。





そんな私は昨日が初出勤であり、初めて歓迎会というものを開いてもらった。






職員室での挨拶では気が付かなかったが、歓迎会で私はある人物と再会をしたのだ。





その人物は、今隣で寝息を立てている神楽 咲人先生。かつての私の担任である。






歓迎会で再会の挨拶を交わし、周りの先生にすすめられたのもあって、二次会は2人でバーに行った。





そこまでは鮮明に記憶が残っている。





ただ、そこからの記憶が一切ないのはどういうことだ。





いや、お酒を飲みすぎたのだろう、というのは想像がつく。私はお酒に強い方ではないからだ。







でも、記憶がなくなるまで飲んだことは今までの人生で1度もないのだ。






まして元先生だった人、そしてこれから上司となる人に久しぶりに会って、飲みすぎることなんてあるのだろうか。







いや、まぁ飲みすぎたことはもう今更考えても仕方がない。だけど、今の状況についてはさすがにスルーすることはできない。







私も裸。
先生も裸。







もう、答えは1つしかない。









絶望をかかえながら思考を巡らしていると、さっきまで聞こえてきていた寝息が止んだ。