今宵も甘く咲く ~愛蜜の贄人形~

地面から生えたように見える四角い建物の群れ。ガラス張りの部屋から見下ろす景色は、夜になればもっと幻想的な世界を繰り広げそうだった。

海からほど近かった高層マンションの23階。表の顔は何をしてるのか知らないけど、それなりの高収入じゃなければ到底住めそうにないことだけは。

30帖近いワンフロアは、植物園に来たのかと目を丸くしたほど緑の繁る部屋で。大理石の床に白を基調にしたインテリア。あたしは感嘆の吐息を漏らす。

「・・・なんだか温室で暮らしてるみたい」

「気に入ったろ?」

得意げな家主に素直に頷くと、ふいに抱え上げられ、そのままカウチソファに組み敷かれた。

「しぐ・・・」

「オネダリ以外は聞かねーよ」

「待・・・っ、ア、・・・んっ」

服の下に滑り込む手。はだけられてく素肌。知り尽くした敏感なところを探る舌。

そこからはもう熱と波に飲み込まれて。時雨の中で溺れ続けるだけの、ただの人形。