キミを描きたくて

「依茉ちゃんは、素直に生きてほしいな」

「素直…」

「そう、素直。いつも僕にお兄さんのこと話すみたいに、僕には何も隠さないで」


僕はどんな依茉ちゃんも好きだよ。
そう困り顔をしながら笑う。

"好き"。
"殺したいほどに好き"。

どうしても今の私には理解できなくて、それが重たく感じた。


「さ、もう帰ろう。ご飯でも食べて帰る?」

「パスタ、食べたい」

「いいね、美味しいイタリアン知ってる。今日は僕に甘えてよ」


夏休みも困ったら連絡していいからね、なんて頭を撫でてくれる。

隼人くんと話していると、心が浄化されるような感覚に陥る。
会長にも、美桜ちゃんにも話せないことを、彼はずっと聞き続けてくれる。

良き相談相手。

きっと彼にはその立ち位置が苦しいのだろうが、私の中では、隼人くんがそこから動く気配はない。


「ん…」

「眠くなっちゃった?寝ててもいいよ、着いたら起こす。ご飯は辞めて、お家に送るね」


おやすみ依茉ちゃん。

その優しい声に寝かし付けられるように、どんどん視界が暗くなっていく。