キミを描きたくて

僕は、あまり良い家ではなかった。
…いや、良かったのかな。

外から見れば、とても良かったと思う。

医者の父、薬剤師の母。
少しばかり年の離れた、弁護士の姉。

お小遣いを欲しいといえばすぐに貰えたし、勉強さえすれば、何も咎められなかった。


「隼人、学校に行きたくないだって?」


そう、僕が中学で不登校になるまでは、とても良い家庭だった。
…僕が、全て壊してしまった。


「学校のみんながバカにするんだ。大して勉強してない癖に点ばっかりとって、先生にワイロを渡してるって」


中学2年の時だった。
頭の良い両親のおかげで、授業を受けなくたって、教科書を読めば基礎くらいできる。
学校で配られるワークさえ家でやれば、テストなんて余裕だった。


「ねえ、お父さんはそんなことしてないよね?なのに、みんなバカにするんだ。お前なんかいるからみんな困るんだって」

「…学校行きなさい」

「行きたくないよ。行かなくたって、僕はここで勉強できるから」


パシン。
乾いた音が、子供の僕には広すぎる部屋に鳴り響く。

初めて、父から顔を叩かれた。


「行けって言ってるだろう!」