キミを描きたくて

教室に戻ると、ポニーテールを揺らして1人の生徒が近寄ってくる。

…宮崎優香(ミヤザキユウカ)さんだ。


「…えっと」

「ごめんごめん、会長にこれ渡して欲しくて!」

「あ、うん…わかった」

「それと、連絡してくださいって伝えておいて!」


漫画で見るような白い封筒に、ハートのシール。
これがラブレターなのは見てもわかった。

…仮にも、付き合ってる女に渡せなんて言うんだろうか。

まあ、そんなものか。

"奪ってしまえばこちらの勝ち"。
そのくらいだ。


「え〜、マジで渡したの?ヤバすぎ」
「あんな女いなくたっていいじゃん!」
「んね、ホント見た目だけ…何がいいんだかわかんない」


宮崎さんを含んだグループが私を横目にくすくす笑う。
別に、なんと言われたっていい。

私は美桜ちゃんと絵と…美味しいご飯があればいい。

病気にならないって、約束したから。


「ホームルーム始めるからお前ら座れよー」


そう担任が入ってくると、複数のグループが散り散りになる。
…はあ、会長を待ってなきゃならないのか。

帰っちゃダメかなあ、そんなことを考えながら教室で伏せる。