キミを描きたくて

「ふふ、目が輝いてるよ、依茉ちゃん」

「あと少し、あと少しで…」


そう言いながら着色する彼女の顔は、どんな色にも例えられないほど明るかった。
ずっとその顔を見ていたいのに、もう終わってしまう。

ずっとこのまま、2人でいられたらいいのに。


「そんな依茉ちゃんが好きだよ」

「……よし」

「届かないのも、全部わかってるよ」


そんな声も、また彼女には届かない。
…いや、依茉ちゃんのことだから、知らないふりなんだろうな。

絵に関係ないことは聞かない。
そんな彼女もまた、一途で愛おしい。


「ずっと、僕のために絵を描いていてよ」
「依茉ちゃんの悩みは僕が全部なくしてあげるから」
「僕は、依茉ちゃんのためだけにここにいるよ」


伝わろうが、伝わらまいが、どうだっていい。
きっと彼女はまた知らないフリをして、僕を見てくれる。

年下の女の子にこんな感情を抱き続ける僕を、ずっと慕っていてくれる。
それでいい。それ以上なんて、求めたくもない。


「愛してるよ、依茉ちゃん。…って、聞いてないか」


ハッとして顔を上げる依茉ちゃん。


「ご、ごめんなさい…夢中になってて」

「わかってるよ。凄く顔がキラキラしてた」

「もうすぐ、もうすぐ終わる…あとは窓の外の雲」


もうすぐ、この二人きりの幸せな時間も終わってしまう。