キミを描きたくて

「依茉ちゃ〜ん」



登校してきた私の机の周りに、人が集まる。
こんな生活に、既に飽き飽きしていた。

人気者に声をかけてしまったがばっかりに、私の生活が乱れていく。



「依茉ちゃん、放課後暇?みんなでカラオケいこーよ」

「あ〜…ごめん、予定あって。」

「なになに、もしかして会長とデートとか!?」


高校生活に必要なのは勉強と、趣味と、自分を心から理解してくれる人間のみだ。

こんな野次馬なんて、必要ない。

私のことはきっと、この学校なら、美桜ちゃんがわかってくれる。美桜ちゃんに、全て吐き出したかった。


「いや、そういうのじゃ、なくて…」



一瞬目眩のような感覚に陥る。
土曜のあのあとから、やけに体調が悪かった。

辺りの対応に困っている私を救うかのように、チャイムが鳴る。
今日も長い1日の始まりだ。



「_____早見ー、話聞いてたか?」



担任の話を無視して、スケッチブックに適当に鉛筆を動かしていた。
どうやらそれがバレてしまったようで、顔を上げると真正面に担任がいた。



「…はい、放課後先生の手伝いで居残りな」