キミを描きたくて

美術室に入ると、みんな集まっていた。
みんなもう描く題材は決まっているようで、下書きを始めていた。


「あ、依茉!」

「...人物画、断られちゃった」


そういうとそっか、なんて返してくる。


「誰に頼んだの?」

「名前は知らないけど...すごい女の子に囲まれてる人」

「...依茉、それマジで言ってる?」


え?うん、そう返すと、美桜...私の目の前にいる、鎌田美桜(カマダミオ)が青ざめた。

表情は一気に無くなり、どこか顔色が悪い。


「依茉、それ...生徒会長だよ」

「......え?」

「生徒会長に断られるって...依茉、相当酷い印象持たれてるに違いないよ」


生徒会長...?
生徒会長如きに断られたところで、何になるんだろうか。


「別に...印象がよかろうが悪かろうが、関わりないし」

「はぁ!?この学校の王子になんてことをっ...」

「私は美桜ちゃんと絵さえあればそれでいいよ」

「何それ可愛い...じゃなくって!!」