キミを描きたくて

「い、いいんですか!」

「頼んだのは依茉ちゃんでしょ?ふふ、僕でいいならいくらでも協力するよ」

「ありがとうございます...!」

「その代わり...顔の細かいパーツまで描いて。ぼかして誤魔化さないで」

「わ、わかりました」



怖い笑みから優しい笑みに変わって、どの角度がいい?なんて聞いてくれる。

さっきまで彼の機嫌が悪かったことなんて忘れて、角度を指定する。

それに合う背景を考え、椅子を置く。

アトリエに置いてある観葉植物をバックに描くことにした。



「そ、その、今日じゃ描ききれないんですけど」

「もちろん、完成するまで付き合うよ」

「ありがとうございます...あと2日あれば出来ると思うんですけど」

「明日と明後日はバイトでここに来るよ。...もしその他の日がよかったら連絡して」



隼人さんとは、私が中学一年生のときからの仲で、連絡先を交換している。

画家しか集まらないこのカフェで、最年少の画家だったからだ。

...今はもうこのカフェは会員制で、会員は18歳以上らしいが、私だけ許可してもらっている。

月1000円の会員費。
少し高いが、これも仲の良い彼の働くお店のためだ。