キミを描きたくて

紫月くん、だっけ。
やけに焦った様子で店内に駆け込んだかと思うと、俺を呼んだ。


「ゆっくり話そう。依茉ちゃんのアトリエに行こうか」


入ったことあるでしょ?なんていいながら、店長にコーヒーを頼む。

この様子なら、きっと依茉ちゃんと連絡を取れていないんだろうな。


「お前は依茉と連絡できてんの」

「できてるわけないじゃないか。あの日から一切ね」

「…依茉のマンションのオートロックは知ってる」

「まさか、凸るつもり?」


ハハッ、と笑いが出る。
きっと依茉ちゃんは幸せなのに。

そんなことを、僕らが壊していいのだろうか?


「いくらなんでも、数日も連絡つかないのはおかしすぎる。」

「依茉ちゃんはずっとお兄さんとの生活を夢見てたから。邪魔しちゃ悪いかもよ」

「依茉は俺の彼女だから。」


手伝ってくれるでしょ?なんて言うその顔が憎たらしい。
依茉ちゃんの彼氏を名乗れる、その顔が憎い。

…でも、今は協力するしかない。
何が起こったのか。

依茉ちゃんの家に、行くしかないんだ。