キミを描きたくて

「きっと、お兄さんのこととかも含めて今はかなり混乱してるんだと思う。大丈夫、一つ一つゆっくり解決していこう」


僕がいるから大丈夫だよ、そう優しく笑う。
いつだって、隼人くんは私の味方であり続けようとしてくれる。

運命かのような出会いをするその時まで、きっと。

ずっと、彼は私を見ていてくれるのだろう。


「お兄ちゃんが帰ってきても、笑えるかな」

「大丈夫、僕が笑わせるよ」

「今更どんな顔したらいいかわかんないや」

「大丈夫、沢山話を聞いてあげる」

「こんなにも顔似てるのに、血が繋がってないのがバカみたいだよ」

「血なんて関係ない、今まで一緒に過ごしてきた時間こそが家族の証拠だよ」


私が何か言う度に、完璧に答えて安心させてくれる。
きっと彼は、立派な医者になれるんだろう。


「お兄ちゃんの絵ばかり描いてるって知られたら笑われるかな」

「そんなことない、喜ぶはずだよ」

「あんなにお父さんはお母さんを愛してたのに、別れさせちゃったのは私のせいかも」

「違うよ。依茉ちゃんは間違ってなんかない」

「でも、あの人から解放されたと思うと心が軽いの。あんな人の血が入ってないって思うと」

「どんな血が入っていようが、素敵な依茉ちゃんにかわりはないよ」