キミを描きたくて

許せるはずもないその言葉が綴られる前に依茉ちゃんの腕を引きよせ、まるで抱くかのように自分の元に。


「何してるんですかー、未成年に。」


そう出した声は、想像以上に低かった。


「は、やと…くん」

「ほら、さっさとこんなとこ出るよ。近くに車停めてるから」


手首を掴んだまま、少し早足で連れ去る。
依茉ちゃんを助けるのは、僕だけでいい。

駐車場に着くと、車の鍵を開けて助手席を開ける。


「ほら、乗りな」


そう言った僕の表情はどんな感じなんだろう。
依茉ちゃんはまるで脅えたかのような顔をして、そんな顔も美しいとさえ思えた。

…そうだ、このまま連れ帰って、ケーキを食べよう。


「僕の家でいい?買い物したから、なまものあるんだよね」

「う、うん…」

「説教もしたいけど…それは後でね」


依茉ちゃんのシートベルトを締める。
これだけ近づけるのも、今は僕だけなんだ。

後部座席に荷物を乗せて運転席に乗り込むと、依茉ちゃんは気まずそうな顔をした。


「もう夜遅いよ、帰らなくていいの?」

「なんか…帰る気起きなくて」

「こんなこと彼氏持ちに言いたくないけど…泊まりな。今の依茉ちゃん、僕一人にできない」


依茉ちゃん、こんな悪い男で本当にごめんね。