キミを描きたくて





「それじゃあ、多分夏休み明けくらいに樹帰ってくるから」


仲良くしろよ、そう言って手を振る父を見送り、頭を抱える。

あまりにも父の話が衝撃すぎる。
頭から離れやしない。


「…どういうこと、こんなに」


こんなに、こんなにこんなに。
さっきしまったはずのスケッチブックを捲る。
こんなに、私と兄は似ているのに。


"依茉は血が繋がっていないんだ"。


美桜ちゃんも、紫月くんだって気づくくらい、私とあまりにもそっくりすぎる顔なのに。

私と兄は、血が、繋がっていない…?

じゃあ私の両親は?兄弟は?いるの?生きてすらいないの?


そんな質問を父に投げかける勇気もなく、自室の床にヘナヘナと座り込む。


私があんなにも愛して、毎晩夢に見ていた兄は、一滴たりとも繋がりのない兄。

…ありえない、そんなはずない。

エイプリルフールはもう終わったのに。
ねえ、うそだよね?お兄ちゃん。

お兄ちゃん、樹、いつき。


そうスケッチブックの中に話しかけてみても、何も言わない。
ああ…最初から、私は母とも父とも、大好きな兄とも、何一つ繋がってなかったんだ。