キミを描きたくて

「依茉…お前に、大事な話があってな。」

「うん、知ってる。」

「母さんと、離婚することになった」


サラッと言って、麦茶を飲む父。
…離婚?

あんなに、愛していた女なのに?


「え…離婚、って。何、痴話喧嘩?」

「前々から、お前にはいつか話さなきゃと思ってたんだ。…樹のことだ」


真っ白な肌、高すぎると言える鼻、青色の瞳。
フランス人の父。

随分日本語流暢だな、なんて余計なことを考えてしまう。


「そろそろ、樹が帰ってきていいと思ってるんだ」

「ちょっと、何言ってるのお父さん。お兄ちゃんは、記憶が無いんでしょ?」

「はあ?何言ってるんだ。樹はただ、留学に行ってそのまま進学しただけだぞ」


はあ!?なんて、大きな声を出す私を宥める父。

…樹が帰ってこないのは、記憶のせいじゃ、ない?


「まーたあいつに吹き込まれてたのか…」

「ちょっと、ちょっと待ってよ。何言ってるの?」

「母さんが言ったんだよ、樹に。依茉と今後暮らしていきたいなら、フランスに行って、1人養えるくらいになれと」

「え…でも、お兄ちゃんはそんなこと」


どうして?
お兄ちゃん、私のこと覚えているの?