風呂から上がって顔を保湿すると、家のチャイムが鳴る。
…おかしい。
母に鍵を持たせているはずだ。
父と母がセットに来ないなんて基本ない、今までもなかった。
考えすぎか、ただ家の鍵を忘れただけか。
そう思いながらインターホンを見ると、家を出た頃より少し老けた父の姿、1人だった。
「今開けたよ」
何故?
なぜ父ひとりなんだ。
母は父の稼ぎで十分だと、パートすらしていないはず。
…いや、始めたのかな?
一気に頭の中の思考がぐちゃぐちゃになる。
てっきり、母に叱責されると思っていたからだ。
家の前のインターホンがまた鳴る前に扉を開ける。
ちょうど、父がエレベーターから降りてきたころだった。
「大きくなったなあ」
「ど、どうしたの。お母さんは?」
「え?ああ…外話もなんだ、中に入れてくれ」
そう言って家に入るとぐるりと見渡し、ダイニングテーブルに座る。
「このマットは…樹のか」
「お茶出すよ、冷たくていい?」
「ああ。しかし、最近暑くて困ったもんだな」
冷蔵庫から麦茶を出して、氷の入ったグラスに注ぐ。
私の分も用意して振り返ると、真剣な顔付きだった。



