キミを描きたくて






「美味しい?」

「うん、美味しい。」

「インスピレーション、湧いた?」


麺をすすりながらそう聞く。
…湧いたかと言われればまだ怪しいが、でもなんとなく。


「まあまあってかんじ…かな」

「ふーん。帰り、どっか寄るとこある?」

「あー…アトリエだけ、寄りたいかな」


そう言うと、眉間にシワを寄せる。
でもまた今度でいいよ、と私が言うと、今日行く、なんて不機嫌そうに言う。

…裏で隼人くんと合うよりかは、まだ一緒の方がいいんだろう。


「何しに行くの?」

「今日買ったものを置きに。」

「家じゃダメなの?」

「家に画材を置くと、毎日ご飯食べるのも忘れちゃうから…」


そう言うと、依茉らしいね、なんて笑う。
…私、らしいのか。

素直でも、いいんだよね。


「それに、隼人くんにも迷惑たくさんかけちゃったし」

「…他の男の話すぐする」

「隼人くんのおかげで、あの日絵を描けるようになったから」


隼人くんのおかげ。
本当にその通りだった。

隼人くんの言う通りに絵を描けば、すぐにコンクールに私の名前が一番に載った。


「それに…悪いこと、しちゃったし」