キミを描きたくて






「わ〜、涼しい」

「…で、何見たいの?」


ギュッと手を繋ぎながら、私の顔を覗く。
私が欲しいのは、画材。

そして、微かでもいい、インスピレーション。


「画材とー…人間観察、とか?」

「人間観察なんて学校でやってるじゃん」

「高校にいる人なんて同年代で、こうやって人のいるところ行かないと親子なんて見れないから」

「親子見るの、趣味なの?」

「そ、そうじゃない!…コンクールの絵、早めに考えておかないと」


画材買いに行きましょ!なんて手を引いて文具屋へ。
併設された本屋にも寄って、色んな漫画や絵本を見る。

…どれも、私の描くものとは違いすぎる。

私は教訓や、恋心、勇気を描きたいわけじゃない。


「うーん、ピンと来ないなあ…」

「…あ、漫画の新刊出てる」

「漫画、好きなんですか?」

「これはー…なんだっけ、有名な作者のやつ」


誰だっけ?なんて本の名前を見る。

____ああ、描いてるものさえあれば、名前なんていらないんだ。

そこにストーリー、素敵な絵さえあれば、誰が出していたっていいのか。


…"早見依茉"が描いたものでも、名前なんて後付けでしかないんだ。