人間を好きになった、魔界の王の娘


善の家を出た後
悠翔君に腕を掴まれたまま
あたしは悠翔君の後ろを歩いている
というよりも、小走りされている

「ここだ」

着いたマンションは結構デカい建物で

「730号室」

「え?」

「今日からお前が済む部屋番号だ」

部屋番号なんてあるの?

「お帰りなさいませ。悠翔様」

様!?

「おや。そちらのお連れ様は?」

「俺の婚約者の奈未だ。覚えておいてくれ」

「畏まりました。ワタクシこちらの
コンシェルジュをしております。楠田(クスダ)と申します
以後お見知りおきくださいませ。奈未様」

あたしにまで!?

「は、悠翔君っ」

「何だ」

「何だ。じゃなくて、あたしにまで様を」

「俺の婚約者だって言うなら、着いたままだな」

え?
それって

「悠翔様。お話になられていないのですか?」

「これから話すところだ。
楠田。もし、奈未がおかしな行動をしたら
俺にすぐ伝えろ」

「承知いたしました」

そう言ってエレベーターを呼んだ楠田さん