翌日、普通に起きてしまったあたし
いつも、悠翔君が寝ている部屋に行くと
既に悠翔君はいなくて

「夜のうちに出て行っちゃったのかも」

何もこんなに早く出なくてもいいじゃん
リビングに降りても何もすることがなくて
テレビをつけても、面白い物なんか何もやってなくて
夢ちゃんたちみたく、あの機械があれば面白いのかもしれないけど
あたしは、その機械すら持っていなくて
連絡の取る手段さえ何もない

「奈未ー?」

「あ、夢ちゃん」

「昨日夜遅くに悠翔が帰って来たんだけど
何かあったの?」

「あ、お母さんが帰ってくるの。少しの間だけど」

「なるほど。じゃあ、文化祭にお母さんを呼ぶんでしょ?」

「ううん。呼ばない」

「え?」

「呼ばないよ。親と決別した時に、お母さんとも決別しているようなものだもん
それに、お母さんが来てもきっと何も変わるはずがないの」

「そんな事」

「本当のことなの」

「奈未?」

「あたしには、弟がいるんだけど
お母さんもお父さんも、弟にしか目をくれなくて
あたしは、それが嫌で実家を出てきたの。
それもお父さんに自分の娘じゃなくなるってそう言われたんだから」

「へぇ」

「で?今日は学校はどうするの?」

「今日は、善にも、悠翔君にも、休めって言われてる。
昨日の今日だし、仕方がないけどさ」