「知っておきたかったって」

「善は知っているでしょう?
あたしのお母様が人間界の人間だってこと」

「あぁ」

「なのに、あたしは、お母様が具合を悪くしたところを見たことがないの
廻も同じだと思う。同じお母様とお父様の子なのに
あたしだけが魔力量が少なくて
魔王城からも出してもらえなかった」

「何言って」

「お父様があたしをインキュバスやサタンと
一緒にさせたかったのは、あたしの魔力量が極端に少ないから
魔力量の多い者を一緒にさせれば
良くなると思っているから」

「なるほどな。
それで、俺にもその話が来たっていうわけか」

「そう。
だけど、あたしがここに来たのは、その婚約もしたくなくて
親からも、魔王城からも逃げてきたようなもの。
魔力量がどうなってもいいと思ったのも事実」

「バカだろ」

なっ

「それで、風邪なんか引いてたら
女王陛下だって、魔王様だって心配するに決まっている
この件は俺の観察不足と言うことで
魔界にも報告はしない」

この件って言うことは

「善。今まで」

「報告していたに決まっているだろ。
仮にも俺だって候補だぞ?
報告する義務が俺にはある」

「・・・っ」