お母様がお父様に魔界で言っていたことは
この事だったんだ・・・

「それでもね。奈未ちゃんが生まれるちょっと前に
麗奈が1度だけここに戻ってきたの」

「え?」

「この子は、きっと麗奈に似るから、
私の今いる世界にはいたくないって。
こっちに来たいって言うかもしれない。
その時は、私にお願いするねって」

そんな事・・・

「その時まで、私は麗奈がどこに連れて行かされたかなんて
知るはずもなかったの」

「え?」

「麗奈が、魔王の婚約者に選ばれるだなんて思いもしなかったし
お互いにずっと、この世界に居られると思っていたのだから」

そりゃ、そうだよね

「だけど、それでも奈未ちゃんが生まれてから
数か月に1回は、私の所に来ていたわ。
お隣の家があるでしょう?」

「はい」

「あの家は、桜木家の家なの。
麗奈のご両親、奈未ちゃんからしたら祖父母に当たる人ね
そのお2人はすでに他界されているけど
さっき言っていた桜木大我は、近場に住んでいるし
会おうと思えば会えるわ。
だけど、この家は手放せなくてね。大我さんも」

どういうこと?

「麗奈が済んでいた場所だもの。
思い出が多すぎて、手放せないのよ」

「!?」