The previous night of the world revolution6~T.D.~

しかも。

そんな広くて、たくさんのテーブルと椅子が所狭しと並べられているのに。

その中のほとんどのテーブルは、既に学生達で埋まっていた。

凄いな。大繁盛じゃん。

まぁ、この大学の規模を考えれば、驚くほどのことではないのかもしれないが。

「俺とルナニアで食券買ってくるよ。お前ら、空いてる席確保しておいてくれるか」

「了解」

エリアスがそう言い、ABCも賛同して、空いている席を探しに行った。

こんなに広かったら、お互いはぐれると迷子になりそうだが。

大丈夫なんだろうか。

それにしても。

「食券システムなんですね」

言うまでもなく、帝国騎士官学校では、食事のメニューに選択肢などなかった。

さすがに大学の学食はもう少しメニュー豊富で、多分三種類くらいはあるんだろうと思っていたが。

セットA、セットB、セットCみたいに。

カウンターでどのセットにするか、口頭で伝えるだけで良いのかと思ったら。

食券制度なんだ。

まぁ、これだけ人が多かったら、いちいちカウンターで金銭のやり取りしてる暇はないか。

「そ。ルナニア何にする?」

「何があるんですか?」

本日の日替わりランチとか?

「色々あるよ。唐揚げ定食、ハンバーグ定食、焼き鮭定食、ミックスフライ定食…」

え、そんなにあるの?

「あとは、うどんやラーメンなんかの麺類と…丼モノも種類多かったな。カツ丼親子丼天丼…」

「そんなに種類があるんですか?」

凄いな。

たかが学生共に、そんなに豊富なメニュー選ばせるとは。贅沢な。

「そりゃあ、ルティス帝国総合大学ともなれば、そこらの高校の学食とは訳が違うよ」

「…へぇ…」

「俺の高校の学食なんて、メニュー三種類しかなかったんだぜ?日替わりランチと、うどんと、カレー。これだけ。毎日三択しかなかったから、本当辛かったよ」

高校に学食があった時点で、選択肢少なくて辛い、なんて言葉を使うことが許せないのだが?

学食あるだけ幸せじゃないか。

俺なんて、食べたくても食べたくなくても、毎日決められた食事しか与えられなかったぞ。

まぁ、ルルシーに会うまでは、食欲なくてほとんど残してたけど。

「ルナニアの高校はどうだった?」

「…そもそも学生食堂がありませんでしたよ」

「えっ」

…そんなに驚かれることなの?

こればかりは、地域差があるとしか言えないが。

少なくとも、天下の帝国騎士官学校には、そんなものなかったよ。

そんな自由は。

「じゃ、毎日弁当?」

「まぁ…そんな感じです」

弁当でもないけどね。全寮制だから。

「そりゃ、つまんなかっただろうなぁ。せめて大学の学食で、好きな物食べろよ」

「そうしますよ…」

何と言うか。

格差社会を感じるね。

…それにしても。

「詳しいですね、エリアス」

「何が?」

「今日初日なのに、学食のメニューを把握してるなんて…」

余程学食が楽しみだったのか?そんなことはないと思うが。

「いや、オープンキャンパスで来たとき、学食使わせてもらったことがあるんだよ。オープンキャンパスに来た生徒だけ、特別に使わせてもらえてさ」

成程、そんな制度が。

それは知らなかった。

「ルナニアは、ここのオープンキャンパス来なかったのか?」

「…」

…不味い。

さすがに、オープンキャンパスのことまで聞かれるとは思ってなかった。