The previous night of the world revolution6~T.D.~

ルーチェス殿の奥さんである、セカイ殿を箱庭帝国で預かって、しばらくになるが。

その間、彼女が退屈しないよう…いや、寂しさを少しでも紛らわせようと…俺は色々、手を尽くしてきた。

まず、護衛としてラシュナを伴わせて、箱庭帝国各地の観光地に案内した。

これには、セカイ殿も興味津々だったとか。

しかし、残念ながら箱庭帝国は、ルティス帝国ほど大きな国ではない。

観光地を巡ると言っても、精々二週間もあれば、国内の観光地らしい観光地は、全て堪能し尽くしてしまう。

その後は、この「隠れ家」に戻ってきた。

定期的に、ラシュナやミルミル、ヴィニアスなどを呼んでは、セカイ殿の話し相手になってもらった。

セトナ様にも、セカイ殿の話し相手になってもらった。

特に、セカイ殿はフューシャ…今はフューニャと名乗っているそうだが、彼女とご近所さんだそうで。

友達の友達ということで、ミルミルと気が合ったようだった。

しかしながら、申し訳ないことに。

ミルミル達も、ずっとセカイ殿の相手だけをしている訳にはいかない。

それぞれ『青薔薇委員会』の仕事が忙しく、何日も続けて、誰もセカイ殿の相手を出来ないこともあった。

セカイ殿も、自由に国内を出歩けたら、少しは気晴らしになったのだろうが。

預かっている身としては、彼女に万一のことがあっては大変なので。

外出一つでも、護衛をつけずには許可を出す訳にもいかず。

たまにセカイ殿は、「ちょっと買い物に行きたいな」と申し出て、護衛付きで気晴らしに出ていたが。

それでもきっと彼女は、かなり遠慮しているのだろう。

そんな申し出を受けたのは、数えるほどしかない。

本当は、もっと自由に動き回りたいだろうに。

ほぼ、部屋の中に軟禁状態だ。

随分と、不自由な思いをさせてしまった。

しかも彼女は、箱庭帝国に身寄りがいる訳ではなく、愛する人を祖国に置き去りにしてきているのだ。

会えば、必ず気丈に振る舞ってはいるものの。

きっと彼女も、内心穏やかではないだろう。

ルーチェス殿の身を案じて、胸の締め付けられるような思いをしているはず。

そんな彼女の悲しみを、少しでも和らげてあげたい。

その思いから、ちょっと時間に余裕を作った俺は、セカイ殿のいる部屋を訪ねた。

丁度午後の時間だったので、お茶でもどうか、と誘ったのだ。

快諾してくれたセカイ殿の部屋で、始まったのがこの馴れ初め話である。