…あぁ、もう。

「手間取らせないでよ」

そんなものを、まだ隠し持っていたとは。

「な…!何で、この距離で避け…」

「君が、当てるの下手くそだからじゃない?」

まぁ、多少上手だったところで、そのくらい避けるけどさ。

「お、お前…何なんだ。誰なんだ!に、人間じゃな、」

「…失礼だな」

透明なワイヤーが、ヒイラ・ディートハットの首を切断した。

僕は、いつもこの瞬間に考えることを、また頭の中で反芻した。

例えどんなに高貴な立場にいる人間でも、貧民街でクズ拾いをしている人間でも。

死ぬときは同じだな。

それだけは、誰しも平等だ。

良かったね。君の望み、叶ったんじゃない?

それと、もう聞こえてはいないと思うが、一つ訂正しておく。

「…僕は、至って普通の人間だよ」

至って普通の、私立青薔薇学園中等部三年生。

『青薔薇連合会』暗殺専門部隊、『ツキノミコト』所属。

コードネームは、『朧月』。

これが、僕の本当の姿だ。